GLOSSARY

広報のためのLLM用語集

LLM 時代の広報・PR に必要な用語を、実務目線で平易に解説します。「AI検索」と「RAG」と「LLM」の区別から、事前学習・想起集合・共起まで。この44語で、業者の提案書を自分の言葉で仕分けられるようになります。

LLMの基本

LLM(大規模言語モデル)

ChatGPT・Claude・Gemini に代表される言語モデル。大量のテキストを事前学習し、次に来る語を予測することで文章を生成します。本用語集で「LLM」と書くときは、検索サービスではなくこれらのモデル本体を指します。

事前学習(プレトレーニング)

モデルが公開前に大量のテキストから言語と知識を学ぶ工程。LLM があなたのブランドを知っているかどうかは、この段階で学んだデータで決まります。広報が向き合うべき新しい戦場です。

学習データ/訓練コーパス

事前学習に使われるテキストの集合。Web ページ、ニュース、書籍などから構成されます。ここに載らなかった情報は、モデルの記憶になりません。

知識カットオフ

学習データの収集締切日。それ以降の出来事をモデルは知りません。締切後に世に出たテキストは、次のモデルの学習を待つことになります。

トークン

LLM がテキストを扱う最小単位。日本語では1〜数文字程度に相当します。LLM は文章をトークンの列として読み、トークンの列として生成します。

サブワード分解(BPE)

知らない語を細かい部品に割って読む仕組み。未知のブランド名も部品に分解すれば「読める」が、読めることと知っていることは別です。社名が1つのまとまりとして扱われるのは、言及が十分に蓄積されてからです。

ベクトル/埋め込み

語や文を数値の座標に変換したもの。意味が近い語は座標上でも近くに置かれます。ブランドの座標は、学習データの中の共起の積み重ねが形づくります。

共起

同じ文脈の中に複数の語が並んで現れること。LLM は「ブランドとカテゴリ」「ブランドと競合」の関係を、共起の積み重ねから学びます。事前学習対策の中心概念です。

パラメータ

モデル内部に保持される膨大な数値の集合。学習によって調整され、言語能力と知識の実体となります。

推論

学習済みのモデルが回答を生成する工程。学習と異なり、推論の場でモデルの記憶が書き換わることはありません。会話で教えた内容は次のモデルに残りません。

プロンプト

LLM への指示・質問文。プロンプトの工夫で回答は変わりますが、モデルが知らないことを知っている状態には変えられません。

ハルシネーション

LLM が事実と異なる内容を、もっともらしい文章で生成する現象。自社やサービスについて発生していないかの確認は、広報のリスク管理そのものです。

ファインチューニング

事前学習済みのモデルを追加データで調整する工程。モデル提供側の製造工程であり、個社がブランドを覚えさせる手段としては一般に使えません。

AI検索とRAG — 混同を解く

AI検索

検索結果を LLM に要約させて表示するサービス。Perplexity や Google AI Overviews が該当します。動いているのは検索であって、LLM 本体の認知ではありません。この2つの混同が「AI にリアルタイムで載せられます」型の誤認商法の温床になっています。

RAG

LLM が回答時に外部の文書を参照する仕組み。いわば LLM のカンニングペーパーで、多くの場合 Web 検索エンジンを使います。何を調べるかは LLM 本体の想起が決めるため、RAG は事前学習の下流にあります。

Web検索の発火

ChatGPT 等では、検索するかどうかをモデル自身が判断します(条件付き発火)。AI検索は常に検索が先に動きます(常時発火)。この主従の違いが、「AI検索で表示されたデモ」が LLM の認知の証明にならない理由です。

サブクエリ

AI検索や RAG が、元の質問を分解して発行する複数の検索クエリ。その語彙は LLM の連想=事前学習から供給されます。想起されないブランドを探すサブクエリは、そもそも生成されません。

fan-out(クエリ展開)

1つの質問から多数のサブクエリを同時に展開すること。ビッグワード1本の順位より、展開された束の中のどこかで選ばれるかが問われます。

リランカー/パッセージ選別

検索で取得した文書の中から、回答に使う箇所を選び直す判定器。話題が一貫した文書ほど選ばれやすく、詰め込み型のページは不利になります。

チャンク

RAG が文書を分割して扱う単位。どこで分割されるかは書き手には決められず、文書構造がそのまま引用のされやすさに影響します。

埋め込み希釈

1ページに多数の話題を詰め込むと、ページ全体の座標がぼやけて、どの質問に対しても「近い文書」でなくなる現象。関連の薄い内容の追加は、類似度を積み増すどころか下げる方向に働きます。

セマンティック検索

キーワードの一致ではなく、意味の近さで文書を探す検索。埋め込みベクトルの距離で測ります。

ゼロクリック

検索結果の画面で用が済み、サイト訪問が発生しないこと。AI による要約表示の普及で加速しています。

LLMO/GEO/AIO

LLM に自社が正しく認識・想起されることを目指す取り組みの総称。LLMO(LLM Optimization)、GEO(Generative Engine Optimization)、AIO(AI Optimization)など複数の名称で呼ばれます。ただし、現在この看板で提供されるサービスの実体の多くは SEO や RAG 対策の焼き直しです。名称の新しさではなく「実装が明日変わっても効くか」で提案を仕分けてください。

SEO

検索エンジン最適化。AI検索の引用は検索順位に強く依存するため、「AI検索対策」の実体は多くの場合 SEO の延長です。それ自体は否定されるものではなく、何が効いているかの表示の問題です。

学習パイプライン

学習パイプライン

Web 収集 → 品質フィルタ → 重複排除 → 学習、という事前学習データの製造工程。記事として世に出ても、各段階で脱落し得ます。「掲載された」と「学習された」の間には距離があります。

Common Crawl

Web 全体を定期的に収集し公開している非営利プロジェクト。主要な LLM の学習データの供給源として広く使われています。

CCBot

Common Crawl のクローラー。これを robots.txt で拒否しているサイトは、多くの LLM の学習データ候補から外れます。

品質フィルタ

学習データから低品質なページを除外する仕組み(Gopher rules、FineWeb 等)。広告過多、本文が薄い、記号だらけといったページはここで落ちます。

重複排除

ほぼ同一のテキストを学習データから間引く工程。配信網で複製された同文のプレスリリースは、多数掲載されても1本に畳まれる可能性があります。

robots.txt

サイトがクローラーに収集の可否を伝えるファイル。記載がないボットは許可として扱われるのが慣例です。

LLMボット

GPTBot(OpenAI)、ClaudeBot(Anthropic)、Google-Extended、PerplexityBot など、LLM 関連の収集ボットの総称。メディアごとに許可・拒否の方針が異なります。

学習許諾

メディアが LLM ボットに許可している用途の区分。学習用・RAG 参照用・取得用で許諾は異なります。掲載先メディアの許諾状況が、その記事が「次のモデルに届くか」を左右します。

クローラビリティ

ページがクローラーに正しく読める状態にあるか。学習パイプラインは大規模なレンダリングを行わないため、JavaScript 頼みの本文は収集段階で消えます。

広報PRの戦略概念

想起集合(Evoked Set)

「◯◯といえば?」で思い浮かぶ選択肢の集合。マーケティングの古典概念であり、LLM の回答はモデルの想起集合の表出です。ここに入ることが事前学習対策のゴールになります。

想起シェア/SOV

カテゴリ内で自社がどれだけ想起されるかの割合(シェア・オブ・ボイス)。競合との差を定点計測することで、施策の効果が確認できます。

第三者言及/客観表現

自社発信ではなく、報道や記事として客観的な書き方で語られること。判定の機構が見ているのは書き手の身元ではなく文体と文書量であり、量と質の両方を作れるのは広報だけです。

サイテーション

自社が言及・引用された記事や掲載。獲得したサイテーションが狙い通りの関係を刻めているかは、検証すべき対象です。

ピギーバック戦術

株式会社トドオナダが提唱する、カテゴリの支配的な競合と並んで言及されることで、競合が確立した座標を鋳型に、自社の座標を書き込ませる戦術。ゼロから座標を作るより、確立した関係構造に相乗りする方が速い。

並列言及(並列センテンス)

自社と競合、あるいは自社と結びつけたいキーワードを、1つの文の中に並べて書くこと。ピギーバック戦術の具体的な実行手段です。

事前学習対策

次のモデルの学習データに、質の高い言及を残すための施策全般。プロンプトの工夫や RAG 対策と異なり、モデルの記憶そのものに働きかけます。RAG 対策の効果は事前学習対策の副産物として得られます。

LLMフレンドリー

ページの HTML 構造が学習パイプラインを生き残れる状態にあるか。本文がひと続きのテキストとして抽出でき、事実として扱われる品質を備えているかが問われます。

正引き/逆引き

ディギディギ(株式会社トドオナダ)が定義する測定概念。正引きは自社を起点に「LLM が自社をどう説明するか」を確認する測定(ハルシネーション検知)。逆引きはカテゴリを起点に「誰が想起されるか」を確認する測定(競合発見)。この2方向で LLM 認知の全体像が見えます。

記事デバッグ

ディギディギ(株式会社トドオナダ)が定義する測定概念。獲得した記事が、狙った共起関係を学習可能な形で刻めているかを検証すること。掲載を獲得して終わりではなく、記事の中身を診断して次の一手につなげます。

LLMの中の自社を、測ってみませんか。

ディギディギは、ハルシネーション検知・逆引きによる競合発見・想起シェア計測を通じて、この用語集の概念をそのまま実務の計測に変える LLM 認知計測ツールです。

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